Reuse for the Future

#01 ゴミの処理ってどうしてるの?廃棄物の行方<前編>

Reuse for the Future2021-04-12

この度モノを取り巻くあらゆる人と「モノとのより良い関係性」について考えるプロジェクト、
’Reuse for the Future’ を始めました。

モノを巡ってさまざまな立場が存在するいま、異なる視点での対話が必要ではないでしょうか。
’Reuse for the Future’ を通して、より良い「モノの未来」を一緒に考えてみましょう。
ここでは編集部がコラムを執筆。
今回はゴミがどのように処理をされていくのかを、前編と後編の2回に分けて解説していきます。

ゴミの処理ってどうしてるの?廃棄物の行方<前編>

最近「エシカル」や「サステナブル」ということばを頻繁に耳にするようになった。
「エシカル(ethical)」というのは「倫理的な、道徳的な」という意味である。
つまり、「エシカルな選択」というのは「倫理的/道徳的な選択」という意味であって、そのような話題が出たとき、往々にしてモノの生産背景に着目されることが多い。

例えば開発途上国の生産者の労働環境や生活水準を保証するための「フェアトレード」(=公平・公正な貿易)や、地球環境や生産者の労働環境、健康などに配慮する「オーガニック」(=有機の・有機栽培の)製品などがあげられる。
もしこれらの言葉に聞き覚えがなくても、以下のマークを見たことがあるという人もいるのではないだろうか。

(画像引用元:認証ラベルについて|フェアトレードとは?|fairtrade japan|公式サイト

(画像引用元:有機(オーガニック)認証について|OCC)

しかし、本当の意味で持続可能な(サステナブル/sustainable)社会構造を描こうとしたとき、モノを作る背景だけに着目していて良いのだろうか?
生産から廃棄まで、その背景と実情を知ってこそ、循環するモノの流れを描けるのではないだろうか。
使い終わったあとのモノは、ゴミとして出されたモノは、どのような道を辿るのだろうか。
普段言われるがままにゴミの分別をしている人も、環境のためを考えて行動している人も、意外とその分別が処理過程でどのように活かされているのかはぼんやりとしたイメージだけで、詳細には知らないことが多い。

今回はモノが生まれる背景ではなく、どこでどのように処理をされ、その後どこへ行くのかについて解説していきたい。

一般廃棄物と産業廃棄物

ゴミ(廃棄物)は一般廃棄物と産業廃棄物という分け方ができる。
ここでは私たちの生活により身近な「一般廃棄物」について解説する。
これは各自治体に処理責任がある廃棄物だ。

(画像引用元:平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第2部第3章第2節 廃棄物等の発生、循環的な利用及び処分の現状

「一般廃棄物」とインターネットで調べると、「産業廃棄物以外の廃棄物」と出てくる。
これでは結局何を指すのか分からない。
そこで、「産業廃棄物」について調べると、20品目が具体的に示されており、中には「金属くず」や「ゴムくず」、「廃油」などが含まれる。

(引用元:産業廃棄物の種類|東京都環境局

つまり、一般廃棄物とは専門的な処理が必要な廃棄物(=産業廃棄物)以外を指すということになる。
私たちの日常生活で排出されるゴミや企業・各事業所などから排出されたゴミも、20品目の産業廃棄物意外であれば、一般廃棄物である。

(画像引用元:平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第2部第3章第2節 廃棄物等の発生、循環的な利用及び処分の現状

上の図は、一般廃棄物がどのように流れていくかを示した図である。
順番に見ていこう。
なお、自治体によって処理の流れや方法に多少の差異が生じることはご了承いただきたい。
一番左の「ごみ総排出量」は文字通り、年間で排出されたゴミの全ての量だ。
そこから分岐しているのが、「集団回収量」と「計画処理量」。
別で下にある「自家処理量」とは、ゴミを自家肥料や飼料にしたり、直接農家で処分したりしている分のことだ。
「集団回収量」とは、スーパーやコンビニ、学校やマンションなどで分別をして集めた資源化前提で回収されているもののことである。(参考:大阪市:資源集団回収活動について (…>ごみとリサイクル>補助金、助成など))
「計画処理量」とは年間でこれぐらいの量を処理すると予め計画として算定されたもの、その次に続く「ごみ総処理量」が実際に処理されたゴミの量である。
この「ごみ総処理量」にはありとあらゆる品目が含まれる。
ゆえに、「ごみ総処理量」は3つに分岐しており、「直接資源化量」「中間処理量」「直接最終処分量」とある。
「直接資源化量」とは、自治体やその委託業者によって資源化物として集められ、リサイクル業者へ引き渡されたゴミの量を指す。
缶・ビン・ペットボトルや古紙などを私たちが分別して決まった曜日に出しているのは、それらを資源化物として活かすためなのだ。
リサイクルの資源として、「直接資源化量」は「総資源化量」に加わっていく。

一番下の「直接最終処分量」とは、中間処理を経ず埋立処分されるもののことを指す。
例えば、大阪府堺市の例を見ると、がれきやブロックなどの不燃物の一部がこれに含まれる。(参考:第3次 堺市一般廃棄物(ごみ)処理基本計画
これらの廃棄物は処理を施すことなくそのまま最終処分場へと運ばれる。

真ん中にある「中間処理量」とは、日本産業廃棄物振興センターによれば、「廃棄物を減量・減容化、安定化、無害化、資源化すること」「具体的には、廃棄物の性状に応じて焼却、破砕・選別、圧縮・成形、中和、脱水などの操作が行われ」ることとある。(引用:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
つまり、そのままでは埋め立てることができないから、または量や体積を減らしたいからなどの理由で、何らかの処理を施す過程だ。
中間処理を経た廃棄物は減量された分以外の残りが、その後資源化されたり最終処分場に運ばれたりする。


今回は「ゴミ処理の実情 <前半>」として、ゴミが処理されていく流れの大枠を解説した。

普段何気なく分別していたゴミも、なんとなくリサイクルされるんだろうなぁというイメージでいるのと、具体的な流れを知った後とでは、分別の際の意識が変わってきそうだ。

今までゴミは全て処理場へ運ばれると思っていた人もいるかもしれないが、最終処分場へ直接運ばれるゴミもある。
処理を経て減量される分もあるが、ゴミは決して消えて無くなる訳ではない。
こうしている今も地球上で確実に増えていっているのだ。

そして、最後に取り上げた中間処理にもいろいろな方法があり、処理後に残る物もさまざまだ。

次回「ゴミ処理の実情<後編>」では中間処理以降のゴミの行方や詳細、そしてゴミの現時点での終着点とも言える最終処分場とは一体どんなところで、どんなことをしているのかについてを解説していく。

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