海外EC調査部

人とモノの出会いを大切にするEtsy(エッツィー)

海外EC調査部2021-11-25

日本でもCreemaやminneなど、ハンドメイドの商品を取り扱うマーケットは存在する。
今回紹介するのは、その世界版とも言えるマーケット「Etsy(エッツィー)」。
サイトは日本語にも対応しており、日本からも利用することができる。
Etsyで購入してみたい人も販売してみたい人も、一体どんなマーケットなのかを見てみよう。

Etsyの概要とその成長

(Photo by Annie Spratt on Unsplash

Etsy(エッツィー)は、2005年に設立、ニューヨークのブルックリンに本社を構え、そのマーケットプレイス には、ユニークなハンドメイド作品やヴィンテージの掘り出し物などが、世界中から多種多様に集まっている。
また、企業のミッションとして、「Keep Commerce Human」(訳:コマースを人間らしく)を掲げており、「機械化がどんどん進む中でも、人とのつながりをビジネスの核心に残すことが Etsy の使命」だとしている。(引用:About Etsy

2016年に現在のCEO ジョッシュシルバーマンが着任するまで、紆余曲折ありながらもじわじわと発展とグローバル展開を進めてきたEtsyだが、2019年から2020年で大きく成長を遂げている。
その飛躍ぶりがわかる数字を見てみよう。

2020年の年間収益は17億2562.5万ドル(約1970億円)だった。
これはなんと、前年の約2.1倍である。

その他、年間のアクティブセラーは約270万人から約437万人に増加の約1.6倍。

年間アクティブバイヤーは約4,635万人から約8,190万人になり、約1.8倍。

(参照:Etsy, Inc. – Etsy, Inc. Reports Fourth Quarter and Full Year 2020 Financial Results

この急激な成長のきっかけとなったのは、やはり新型コロナウイルスの世界的な大流行だ。
コロナの蔓延を受けて、業績の低迷に備えていたCEOのジョシュ・シルバーマンは、売り上げが急増したレポートを見て驚いたという。
それまでアメリカでは一般的でなかった口元を覆うマスクが感染予防対策として推奨され、人々はEtsyのコミュニティで買い求めたのだ。

2020年の末までに、Etsyは7億4000万ドル以上のマスクを販売したが、これは同社の流通総額103億ドル(約1.2兆円)の7%に相当する。
その年のEtsyの年間売上高は111%増の17億ドル、純利益は264%の増加となり、株価上昇率はテスラに次ぐ水準とされた。

(引用:Google Finance: Etsy

2020年3月に大きく下落したEtsyの株価は、その時と比べて2021年11月現在、8.5倍にまで上昇した。

(参考:手作りマスクで急成長の米フリマアプリ「Etsy」、創業16年の歴史(Forbes JAPAN) – Yahoo!ニュース

Etsyで購入する

(引用:Etsy公式サイト トップページ

Etsyで商品を購入する良さは、ハンドメイドのオリジナル商品であれば、世界に一つだけの特別感と、人の手で作られた温もりを感じられることであろう。
特に目的もなくサイトを閲覧していても、予想もしないものやオーダーメイドのアイテム、個性的な商品に出会うことができる。
Etsy Journal(英語ブログ)ではエディターのおすすめアイテムをチェックすることもできる。
この時期だとちょうどホリデーシーズンに向けた情報が発信されており、最近ではニコール・リッチーとのコラボなども紹介されている。(コレクションの中には売り切れも発生しているようだ。)

(引用:House of Harlow 1960 Creator Collab | Nicole Richie Holiday Decor and Gifts

冒頭にも書いた通り、Etsyのサイトは日本語対応となっている。
しかし、その出品者は商品や配送についての詳細など、日本語以外の言語(主に英語)で記載していることが多い。
配送予定日や送料などは日本語で表示されているが、ショップポリシーや商品詳細欄に記載されている情報もしっかりと確認しておきたいところだ。
なぜなら、注意書きや配送に関するオプションを細かく書き加えている出品者も中にはいるからである。
英語が苦手だけれどEtsyで購入したいものがあるという場合は、翻訳機能なども利用すればより安心して利用できるだろう。
世界各国の出品者が発送するため、配送にかかる日数や配送料は商品によって大きく異なる。
購入の際にはしっかりその辺りもチェックしておこう◎

また併せて出品者や商品のレビュー、販売実績(今まで販売してきた商品の数)なども確認するのをおすすめする。

詳しくは、Etsyヘルプセンターにも詳しく記載されているので、こちらも合わせてご覧いただきたい。

Etsy で商品を購入するには – Etsy

Etsyで出品するには

手数料に関して

(引用:Etsy で販売しよう:海外販売

月額手数料などかけずとも、1商品から気軽に出品できるのがEtsyの特徴。
出品には0.20ドル(約23円)がかかる。
ただし、商品は4ヶ月経つと出品期限切れとなるため、商品情報が自動更新されるごとにこの手数料がかかってくるという点には注意が必要だ。

月額手数料に関しては、Standard(無料プラン)とPlus(有料プラン)がある。
Plusの有料プランではセラーが目指すビジネスの形に沿うよう、月額手数料約1,142円でセラーのビジネス成長をサポートするツールセット(以下画像参照)のプランも提供している。

(引用:Etsy で販売しよう:海外販売

そして、商品が売れるごとに5%の販売手数料と、PayPalへの入金手数料、広告手数料などがかかる。
広告手数料は過去1年間のEtsyでの売上が$10,000ドル未満の場合は注文合計の15%、$10,000ドルの場合は12%となっている。

販売に関する手数料の詳細は、以下のページを参考にすると良いだろう。

Etsy で販売しよう:海外販売

Etsy での販売にかかる手数料と税とは? – Etsy

出品時の翻訳・言語に関して

Etsyでは1言語でも複数言語でも商品の出品ができるようになっている。
そして、自動翻訳機能も提供しているので、出品者は英語に多少の不安があっても安心して商品登録を進められる。
Etsyが進めている方法は、まずショップの基本言語は日本語設定で商品登録を進め、後から他言語に翻訳して情報を追加するという手順である。

翻訳の手順や詳細に関しては、こちらをご覧いただきたい。

▶︎ショップと商品情報を翻訳するには

Etsyで販売できるもの

Etsyで販売できるものに関してはいくつかルールがある。
商品を出品する前にはそれらもしっかりと目を通しておこう。

<参考サイト>

▶︎Etsy で販売できるものは何ですか? – Etsy

詳細ついては上記のページを確認していただきたいが、ここでは簡単にかいつまんでご紹介する。
Etsyで販売できる商品は、基本的には以下のものとなる。

・ハンドメイドの作品

・ビンテージの商品(20年以上経過したもの)

・クラフト素材

・販売禁止商品以外

(引用:Etsy で販売しよう:海外販売

ハンドメイド商品の販売にあたっては、特に細かな基準をチェックしておきたいところだ。
一言に「ハンドメイド」と言っても人によってその定義は様々であるため、Etsyでは詳細に基準を提示している。

基本的に、自身が制作、作成したオリジナルデザイン・商品であることが前提だが、生産を委託した場合も関連情報を商品情報に開示することで出品が可能となる。
また、商品情報に使用する写真は必ずオリジナル(出品者独自)のものでなくてはならない。

▶︎詳しくはこちら ハンドメイドポリシー

ビンテージ商品については、Etsyでは20年以上経過したものでなくてはならないと定めている。
それよりも新しいものはこのカテゴリーで出品することができない。

以下の情報を聞かれることもあるので、出品の前に確認しておくと良いだろう。

・出処と入手方法

・商品の経過年数 決定方法

・デザイナー名、コレクションの詳細

・アパレルの場合:生地繊維の詳細、ブランドラベルや取り扱い方法の有無、ジッパーやボタンの素材

▶︎詳しくはこちら ビンテージ商品

クラフト素材とはアイテムの制作などに使用されるツールや材料のことである。
例えば、ビーズ・塗料・カット布・パターン・DIY キット・クラフト用の「パーツ」などがこのカテゴリーに含まれる。
加えて、風船や紙吹雪、ケーキトッパーなどのパーティー用品も販売することができる。

▶︎詳しくはこちら クラフト素材

また、Etsyではアルコールやタバコなど販売を禁止されている商品もあるので、しっかりチェックしておこう。

▶︎詳しくはこちら 販売禁止商品ポリシー

まとめ

世界各国ではまだまだ新型コロナウイルス感染症の収束(そして終息)に向けた攻防が続いている。
感染防止用マスクの供給は安定し、充分なものとなった現在でも、Etsyの株価は未だ上昇の傾向だ。
マスクを求めてEtsyを訪れたユーザーも、ハンドメイドの魅力に気づきリピーターとなりつつあるのだ。
今後のさらなるユーザー獲得と成長に期待したいところである。

ハンドメイドならではの温かみがあるオリジナル商品を手に入れたい人も、自分の得意分野を活かした作品を世界に届けたい人も、是非この機会にEtsyを訪れてみてはいかがだろうか。

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