Wishに見る、これからのECとビジネス

情報の受け取り方は能動から受動へ

情報が世に溢れている昨今、10代や20代は自ら「ググる(Googleで検索する)」機会が減少している傾向にあるらしい。(参考:https://toyokeizai.net/articles/-/335659

確かに、物心のつく時からスマホやインターネットが普及していた世代からすれば、必要な情報を取捨選択するので手一杯。わざわざ自分で仕事(情報を選ぶ作業)を増やしにいくようなことはあまりしないだろう。

常に自分から情報を探しに行くことが当たり前となっていた世代からすれば、まさに「ジェネレーションギャップ」である。

情報の受け取り方の変化を見て取れる、いい例がある。Instagramだ。

10代から30代の利用率が高いこのSNSは、あらゆる場所から集められる膨大なデータ(フォローしているアカウントの情報や、閲覧履歴、いいね・コメント・保存機能など)をもとに、その人の目に留まりそうな投稿、必要そうな情報、気に入りそうなショップなどをパーソナライズして表示している。

日々、何気なく興味のある情報を見ているだけで、勝手に(自分から調べていなくても)ユーザーが興味を持ちそうな新たな情報が、次々と舞い込んでくるのだ。

欲しい情報を自ら手に入れに行く能動の時代から、パーソナライズされた情報(欲しいもの)が勝手に入り込んでくる受動の時代へ。

Instagramはそのような変化を肌で感じられる一例に思う。

今回取り扱うWishも、その「パーソナライズ」をうまく利用したECプラットフォームだ。

Wishとは

Wishは、2010年にサンフランシスコで、元Googleエンジニアのピーター・シュルチェフスキーによって設立された。Wishを運営する会社はコンテクストロジックで、サンフランシスコに本社を構えている。

月間のアクティブユーザーは1億人以上、月間アクティブバイヤーは1200万人。
50万以上のセラーが登録している。BACKLINKOの記事によれば、2020年には6400万人ものバイヤーがプラットフォームを利用し、その収益は25.4億ドルにものぼるとのこと。
Wishの収益はセラーから受け取る販売手数料15%からなっている。

サービス開始からたった10年でこの成長ぶりだ。
その秘訣は一体なんなのだろうか。

「私たちは、パーソナライズされた楽しい体験をモバイル機器を通じてすべての人に提供することで、消費者の買い物の仕方に革命を起こしています。」
引用・翻訳:Wish About US Shopping Made Fun

Wishとは簡単に言ってしまえば、他よりも低価格な(というかかなり安い)商品がたくさん見つかるECプラットフォームだ。
しかし、そんな簡単な説明だけでは済ませられない興味深さがある。

ターゲットとその背景

ピーター・シュルチェフスキー氏は、世界にはまだまだECが浸透していない層がいることに目をつけた。それは、「中間(所得者)層」である。

(引用:経済産業省/通商白書 通商白書2013/ 第2部 第2章 第1節 新興国展開の重要性/②所得階層別の人口動態より https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2013/2013honbun/i2210000.html

 

日本通商白書(2013年)は、「1世帯の年間可処分所得が5000〜3万5000ドル」を「中間層」と定義している。さらに、その中間層も「上位中間層」と「下位中間層」とに分けられ、下位中間層の年間可処分所得は5000〜1万5000ドルとされる。
つまり、1年を365日として、1日あたりの消費額に換算すると、下位中間層の1世帯の1日の消費額は13.7〜41ドル程度。1世帯が4人であった場合、1人あたりの1日の消費額は、3.4〜10ドルほど(約370〜1100円)である。

Amazonなど既存のECサイトは、富裕層や先程も述べた上位中間層をターゲットにしており、取り扱う商品やその価格帯も比較的安定した収入が得られている人々向けのものとなっている。

シュルチェフスキー氏は、世界にはオンラインショッピングから取り残された人々がいることに着目し、そのマーケットを取りに行ったのだ。

上図は、世界のエリア別に中間層の消費の割合をグラフ化したもの。
アジアやインドの中間層が勢いを増していくことが分かる。
今後、世界の多くの国々で中間所得層が増加し、2030年までに30億人に達するとも予想されている。
(出典・参照:https://www.dni.gov/files/documents/GlobalTrends_2030.pdf#page=30

この事実とWishの成長ぶりを照らし合わせたとき、これから勢いを増していくであろう層のニーズに合わせて、ビジネスを設計していくことの重要性が伺える。

安さの秘密

(引用:「Wish」Google検索結果より)

では、Wishで扱われる商品はなぜこれほどまでの低価格が実現しているのか。
理由はいくつか考えられる。

①中国のメーカーなどから直送された商品の販売

中間業者を通さない分、無駄なコストが抑えられ、安く提供することができる。

②ノーブランド品や、ブランド類似品の販売

販売されている商品は、必要な機能性は保たれつつも、ノーブランドであることがほとんど。ブランド性より安さを優先したい消費者のニーズに応えていると言える。

③「ローコスト・オペレーション」が発達している中国

多くの中国企業では、徹底的に無駄なコストを抑えるための取り組みが積極的に行われている。

この圧倒的な安さは、Wishの大きな売りであるが、もちろん反対に欠点もある。
それは、商品が手に届くまで時間がかかるという点だ。
インターネットで検索すれば、Wishでの購入体験についてやその評価などを共有しているサイトが多々見受けれれる。
そして、その口コミの多くが2週間〜1ヶ月ほどで荷物が手元に届いているという印象だ。

昨今では、翌日、もっと言えば即日手元に届くことも珍しいサービスではなくなってきた。
しかし、Wishを利用するユーザーは配送のスピードを求めていないことがほとんどだろう。
時間がかかることよりも何より、安さが最優先事項とも言える。

データドリブン 〜パーソナライズされたアイテム表示〜

現在、世界100カ国以上で利用されているWish。そのトップ画面は、まるでSNSかのような仕様で、様々な商品の画像が表示される。
Wishはもともと、ウィッシュリスト(欲しいものリスト)のアプリとしてリリースされた。そこで、人々が求める商品のデータを収集し、現在の機能へと進化を遂げたのだ。

「買い手はインスタグラムを眺めているときと同じように、商品の洪水に幻惑されて平均600〜700品目をスクロールし、初めてWishを利用した顧客の80%ほどがまた買い物をしに戻ってくる。」
(引用:https://forbesjapan.com/articles/detail/29188/1/1/1

データ収集によりパーソナライズした商品を提示(レコメンド)することにより、ユーザーの目には興味のあるカテゴリーの商品が大量に流れ込んでくる。
さらに、このパーソナライズ機能のもとでは、ユーザーは自分自身でその商品にたどり着いたような感覚にさえなる。

自分の興味のある商品が、自ずと大量に目に飛び込んでくるのだから、かなり購入意欲が揺さぶられることだろう。
もともと購入を予定していなかったものでも、その安さが後押しとなって、ついつい買ってしまうというケースも多く見られるように思う。

試しにWishのアプリを開け画面をスクロールすると、押し寄せる魅力的な商品情報によって、あなたの「欲しいものリスト」が増えていくことだろう。

まとめ

このWishの経営戦略から学べるのは、まずこれから経済にとって鍵となるターゲットを見据え、彼らのニーズに合ったサービスを提供すること。
そして、どの情報をどのように取り、それらをどう活かしていくかを精査し、確実に組み立ていくことだ。
そうすれば、コロナ禍を経てさらに変化していくであろう新たな時代の営業スタイルとして、ECを活用し、発展させていくことが出来るのではないだろうか。

ちなみ、この記事を読んでWishを利用してみようと思った方は、商品と販売者の口コミなどをしっかりとチェックしてから購入することをおすすめする。
時々商品が届かないと言ったケースも耳に挟むので注意が必要だ。
その辺りの詳細については、Wishでの購入体験を綴っているブログなどを参考にするのも良いだろう。


             

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