ワサビの海外EC調査部(中国編)一.中国Eコマースの特徴:モバイルペイメントと物流システム

ワサビの海外EC調査部 

 

こんにちは、株式会社ワサビです。

私たちはリユース事業者向けのシステムを提供している会社です。
この度、新しいマガジンを始めました。
「ワサビの海外EC調査部」と題して、
世界各地のEC事情をご紹介していきます。
第1部では、急成長を続ける中国EC市場について、
5回に分けてお伝えします。

 

ワサビの海外EC調査部 ー中国編ー


年々規模を拡大する海外Eコマースの中でも、
とりわけ中国のEコマース市場は急成長を続けており、
その膨大なユーザー数と売上は世界中から注目を集めています。

しかし特筆すべきはその規模だけではありません。
中国の商習慣や生活から生まれたユニークなサービスは、国外ではまだあまり知られていないのではないでしょうか。

そこでこの第1部では、日常生活でサービスがどのように使われているのかを交えながら、中国のEコマースとその周辺サービスについて紹介します。
まずは中国のモバイルペイメントと物流システムから始めたいと思います。

 

一.中国Eコマースの特徴:モバイルペイメントと物流システム

 

 

中国Eコマースを支える2つのシステム

今現在、中国のEコマースを支えるものは主に二つあります。
一つは成熟したモバイルペイメントで、もう一つは発展する物流システムです。
この二つの要素が組み合わさるからこそ、中国のEコマースは急激に発展しつつあると考えられます。
また、これらのサービスは主にアプリに注力されており、WEBサイト上のサービス以上の利便性を生み出しています。
アプリ機能を持つことで、モバイルペイメントと物流システム、Eコマースの3つが滑らかに繋がり、巨大なオンライン市場を形成していると言えるでしょう。

 

中国における、モバイルペイメントの立ち位置

中国のEコマースのほとんどは、Alipay とWeChat Pay に依存しています。(前者の割合が大きい)
そして、この二つの大手モバイルペイメントは他のEコマースアプリで決済が可能なだけでなく、映画チケットや「高鉄」(中国の新幹線)チケットの購入がそれぞれのアプリ内で完結します。
もはや、中国の人々の日常生活にしみ込んだサービスと言えるかもしれません。

 

(左はWeChat payのアプリ画面で、右は各ボタンの日本語訳)

 

(左はAlipayのアプリ画面で、右は各ボタンの日本語訳)

 

例えば、自動販売機の話をすると、(中国では日本ほど数多くの自動販売機がないですが、学校や広場には基本的にあります)中国の自販機はスマホを使ってAlipay やWeChat Payで決済することがほとんどであり、日本のように現金でしか支払えない自販機はもうめったに見られません。

まず自販機で買いたい商品を選び、モニター画面で「スマホ支払い」をタッチすれば、自販機本体に貼られているQRコードをスマホでスキャンするだけで支払いが完了します。

 

 

もっとイメージしやすくするために、Alipay とWeChat Pay を日本のモバイルペイメントに置き換えて比較してみると、おおよそ「Alipay ≒ PayPay」と「WeChat Pay ≒ LINE Pay」のように考えられます。

多数の銀行口座を連携できるのは Alipay と PayPay で、チャットアプリに付属し振込などがしやすいのは WeChat Pay とLINE Payです。

 

ではなぜ中国では、モバイルペイメントがこれほど流行っているのでしょうか。モバイルペイメンの登場以前、実は中国ではクレジットカードはあまり使われておらず、デビットカードの方がペイメント市場を支配していました。まず初めに Alipay が誕生して複数のデビットカード(もしくは銀行口座)の一括管理が可能になり、スマホだけで操作できる利便性は、当時人々の心を奪いました。

その後、Alipay と WeChat Pay 以外にも、多くのモバイルペイメントが現れました。例えば中国第2位の大手ECサイト京東(JD.com)の傘下には、「京東支払い」というものがあります。

京東支払いの中でも特徴的なのは、「京東白条(白条:白紙手形、個人に対する少額ローン)」というサービスです。

今ではAlipayも「花唄(ANT CHECK LATER)」という類似サービスを提供しています。

 

(左は「京東白条」のアプリ画面で、右は各ボタンの日本語訳)

 

(左は「花唄(ANT CHECK LATER)」のアプリ画面で、右は各ボタンの日本語訳)

 

前述のように、中国ではクレジットカードの利用率が低く、その代わりに京東支払いの京東白条とAlipayの花唄のような、モバイルペイメントによる少額ローンが流行しています。

そのようなモバイルペイメントによる少額ローンが登場する前は、人々はデビットカードだけを使っており、後払い式の買い物はあまり歓迎されていませんでした。

 

ところが、「京東白条」と「花唄(ANT CHECK LATER)」の登場は、オンライン信用評価システムに依存する、極めて便利な金融サービスを人々に示しました。

Alipayのオンライン信用評価システムー「芝麻信用(ゴマ信用)」を例として挙げると、ユーザーは一人一人の信用点数を与えられ、「花唄(ANT CHECK LATER)」と後述の「借唄」の額が決まることだけではなく、普段レンタルサービスやホテルを使用するとき、デポジット(保証金)不要で予約することも可能になります。(芝麻信用(ゴマ信用)」点数が600点以上必要など、一定の条件あり)。

 

(左は「芝麻信用(ゴマ信用)」のアプリ画面で、右は各ボタンの日本語訳)

 

モバイルペイメントが与るEコマースへの影響

タオバオと京東の流行のきっかけは、Alipay と京東支払です。

当時、京東支払は先に利用者に少額限度がある「後払い額」を付与する「京東白条」というサービスを提供し始めました。申請と審査が必要ではあったものの、一時的に大勢の利用者が発生しました。

一方、Alipayは京東支払よりも利用可能な範囲が広いため、Alipay の「花唄」は「京東白条」をさらに上回る、ものすごい速さで広がりました。

事実上「花唄」は「京東白条」に比べ、「利用者に便利さを与える」部分において優れていると言えます。例えば、今は「花唄」のユーザーは自身が支払い日を設定することができるようになっています。

「花唄」と「京東白条」の基本的な仕組みは、タオバオ(または Alipay が使用可能な他のサービス)と、JD.com で「後払い額」を与えることです。

(お金をユーザーの口座に振り込めるサービスとして、他には Alipay の「借唄」があります)

 

(左は「借唄」のアプリ画面で、右は各ボタンの日本語訳)

 

そして今では、「花唄」を返済する際に全額分割払いが設定できる様になりました。

後払いが一般的でなかった中国において、モバイルペイメントの登場は画期的であり、Eコマースでの消費行動に大きな影響を与えました。

 

 

手の平の上の物流管理サービス

ユーザー個人の郵送物管理については、ほとんどのユーザーがアリババグループの「菜鳥」というアプリを使用しています。

「菜鳥」は全ての物流会社と連携し、ユーザーは携帯電話を登録すると、スマホ1台でユーザーに関わる全ての配送情報を把握することができます。例えばあるユーザーが中国郵政で荷物を発送したら、郵政サイトから個別に調べる必要はなく、自動的に「菜鳥」上に郵政の配送情報が表示されます。

また郵送会社として、京東(JD.com)傘下のJD Logistics(京東物流)は京東でしか利用できないため利用者が限定されそうに一見思われますが、高い安全性と早い配送スピードにより「質が高い物流サービス」として支持されています。

 

(左は「菜鳥」のアプリ画面で、右は各ボタンの日本語訳)

 

 

今回はEコマースを取り巻く、ペイメントと配送に関する中国独自の背景をご紹介しました。

次回は、中国Eコマースの二代巨頭、タオバオと京東について解説します。

 

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